「開かずの基幹システム」—この言葉を聞いて、思わず頷いてしまうエンジニアやIT担当者は少なくないのではないでしょうか。設計書がなく、担当者もいなくなり、ブラックボックスと化したシステム。そんな悪夢のような状況に、まさか生成AIが光明をもたらすとは!今回は、創業100年の老舗企業カクヤスが生成AIを活用して長年の課題を解決した、驚くべきDX(デジタルトランスフォーメーション)事例をご紹介します。

ITmedia NEWSの報道によると、酒類卸のカクヤスは30年間稼働し続け、もはや誰も全容を把握していなかった「開かずの基幹システム」の解読に挑みました。通常であれば450人月もの工数がかかると見積もられていたこの作業を、なんと実質2カ月という驚異的な短期間で、生成AIの力を借りて完了させたとのことです。設計書の一部紛失やソースコードの一部喪失といった厳しい条件下で、親会社ひとまいるの担当者がAWS Summit Japan 2026でその詳細を語ったとされています。生成AIがブラックボックス化したレガシーシステムのコードを解析し、その機能を明らかにしたという点で、これは非常に画期的な事例と言えるでしょう。

このニュースを読んで、真っ先に感じたのは「未来はすでにここにある」という興奮です。これまでレガシーシステムとの格闘は、多くの企業にとって避けては通れない、そしてコストと時間がかかる「聖杯」のようなものでした。ベテランエンジニアの退職や知識の喪失は、システム保守をさらに困難にし、DX推進の足かせとなっていました。

そんな中で、生成AIがまるでベテランエンジニアのようにコードを読み解き、ドキュメント化し、さらには再構築の手がかりを与えてくれるというのは、まさに夢のような話です。特に「450人月が実質2カ月」という数字は、単なる効率化の範疇を超え、ビジネスの可能性そのものを大きく広げるインパクトを持っています。

もちろん、AIがすべてを解決してくれるわけではないでしょう。最終的な判断や検証には人間の知見が不可欠ですし、AIの解析結果をどう活用するかという戦略も重要です。しかし、この事例は、AIが単なるツールではなく、人間の能力を拡張し、これまで不可能とされてきた課題に挑む「パートナー」になり得ることを示しています。

多くの企業がDXを叫びながらも、既存システムの重みに足を取られている現状で、カクヤスの事例は大きな勇気と具体的なヒントを与えてくれます。AIの進化によって、これまで手のつけられなかったシステムも「転生」の道を歩めるようになるかもしれません。私たちITエンジニアや関係者にとっても、AIとの新しい協業の形を模索する絶好の機会ですね。

“開かずの基幹システム”、450人月→実質2カ月で解読 創業100年のカクヤス、生成AIで挑む「転生」